「瑠花は?」

「うん?」

「男いんの」

「えっ? あ……」



まさか自分に返ってくるとは思っていなかったから、動揺して言葉に詰まった。

ウーロン茶をひと口飲んで、タイミングを整える。



「いないよ。男の子と遊んだことないって、さっきも言った」


恋。憧れはある。

小学校のときから少女漫画が大好きで、読み返してはこんな恋がしたいって思ってた。


高校生になった今でも、好きな漫画家さんの作品は集めてる……けど。

現実で付き合うという経験をしたことはない。


経験豊富な響平はどんな反応をするんだろうと構えてみたけど。

「へー、そう」

予想を上回るテキトウな返事に拍子抜けする。



ただ自分が聞かれたから同じ質問を返しただけで、私自身に関心があるわけじゃないらしい。


それもそう。
なりゆきでこうなっただけ。


付き合ってるわけでもないし、そばにいると言うセリフも、響平にとっては特に意味のない言葉のはず。