「瑠花……ってさ、」



私の前にウーロン茶の入ったコップを起きながら、響平は話を続ける。



「こういうとこにひとりで来るくらいだから、最初は相当男慣れしてるのかと思ったけど、マジで違うんだ?」



そらしていたつもりが、いつの間にか響平の瞳の中に囚われていた。

どこまでも深い、真っ黒──。


「っ、慣れてはないよ、全然……」


目を泳がせても、結局すぐ捕まえられる。

顔をのぞきこまれてるわけでもないのに不思議。

勝手に吸いこまれる感覚。

さっきまでの怖さも忘れて見つめ合う。



「お前、最初に見つかったのが俺でよかったよ」

「……え?」

「他の男に捕まってたら、言葉通り、二度と帰れなくなってたな」



響平の瞳が細められた。

その冷たさにゾクリとする。



「大丈夫だ」

指先が伸びてくる。


暗くて、冷たくて、恐ろしいと思うのに。


氷のような瞳とは真逆の優しい手つきと


「俺がそばにいるから」


低くて甘い囁きに、また目眩がした。



「瑠花が俺の女でいる間だけ、死ぬほど可愛がってやる」