「まあ入れよ」


開いた扉の先には今度こそ、ちゃんとした部屋があった。


物がほとんどなくて殺風景で、とにかく広い。



「ここ、響平の家……? その、総長って特別扱いなの?」

「そういうことでいーよ」


テキトウな返事を聞きながら、入り口でしばらく立ち尽くす。



「喉渇いてねぇ? 何か飲む?」


私を置いて先に入った響平が奥の部屋からたずねてくる。


「あ……、えっと、」


答える間もなく、ペットボトルを持った響平が現れた。


「ウーロン茶しかなかった」

「あ、ありがとう……」

「コップ持ってくるから、そこの部屋で待ってな」



お茶を受け取って、響平が指をさしたほうへと向かう。

行き着いた部屋も、変わらず殺風景だった。

透明のテーブルにパソコン。


あとは、大きな窓のそばに、ひとりで寝るには大きすぎる、キングサイズのベッドがひとつ、あるだけの……。



……って、ベッド!?

ここって、もしかしなくても寝室……!!