街に着くと、入り口付近で泉くんに会った。


「来てたの? 連絡くれればよかったのに」

「急に来てごめんなさい……。響平に会いたいんだけど、今、大丈夫かな」


「雨の中会いにきてくれたんだ、ありがとう。でもあいつね、今日姿見てないんだよ。俺も探してるんだけど、さっぱり」

「そうなの……?」



泉くんもわからないなんて、どうしたらいいんだろう。

肩を落として、アスファルトの水溜まりを見つめる。



……今日は雨。

雨の日に、月は見えない――。



──もしかしたら。



ある場所が脳裏に浮かんだ。



鼓動が高鳴っていく。

摩天楼まで駆け出した。