「彼女はそのネックレスを、いつか大事な人ができたら、その人にあげるんだと言っていた。……響平が持っているのを知ったときは心が震えたよ」


締めつけられる。呼吸が苦しくなる。


「そのネックレスのチャームの花はね、彼女の一番好きな花がモチーフになってるんだ。……かすみ草、花言葉は、“あなたの幸せを願っています”──」



……そんなに大切なものを、どうして響平は私なんかに渡したの。


早く返さなくちゃ。

はやる気持ち抑えつける。



「瑠花さん、だったかな。さっき街を出るときに、……響平に会い行ってやってくれないか。あの子には、寄り添ってくれる人が必要だ」



滲む視界の中で、その人の優しい表情見た。