「響平、おせーぞ」



タワーマンションらしき建物。


搬入口で足を止めたと同時に、中から響平と同じくらいの年齢だと思われる男子が姿を現した。

銀色の髪を見て、1週間前、バイクで現れたあの人だとわかる。



「そいつ誰?」


たいして興味なさげな目を向けてくる。



「瑠花」

「あ?」

「瑠花。俺の女」


「こ、こんばんは。初めまして……よろしくお願いします?」



彼女らしく振舞おうと焦って、ひとまずペコリと頭を下げた。



「へえ」

へえ、とひと言だけ。


驚いた様子もないので、響平が女の子を連れているのは珍しいことじゃないのかもしれない。



「ルカちゃん。俺は泉。響平に愛想尽かしたら俺のことにおいで?
……ね、よろしく」


軽い調子で名前を呼ばれ、冗談を言われる。

こういうのはどう対応していいかわからないから苦手。



「いずみ、くん。よろしく……」


差し出された手をぎこちなく取ると、響平の手が伸びてきて私の肩を自分のほうへ引き寄せた。


「俺の、っつったろ。気安く触んな」