「……え?」
何度もまばたきをしながら響平を見つめる。
「もう、手出さないって言ったじゃん」
拒んでるわけじゃない。
嬉しいけど、戸惑いのほうが大きいから、ついこんなことを言ってしまう。
「花畑でこーいうことするの、ロマンチックだろ?」
からかい交じりの艶っぽい笑顔は悔しいくらい綺麗で、そらしたいのに視線は釘づけ。
拒否することを忘れてしまいそう。
現実から目を背けて楽な感情に流されていく。
本当に、ふたりきりの世界になればいいのに。
時間が止まればいいのに。
「物足りないって顔してるな」
「っ、してない……」
これ以上ドキドキさせないで。
高鳴る胸にそっと手を当てた
──そのときだった。
ガンッ、と背後で荒々しい音が響いた。
びくりと肩が上がる。



