「響平がこんなに花好きなの意外だった。……けど、なんか似合う」
「はっ。なんだそれ」
似合うというのも、もしかしたら違うかもしれない。
綺麗で惹きつけられるところが似てる。
綺麗すぎて、ふとした瞬間に不安になる、儚さ……。
「好きってか……まあ好きだけど。もとはと言えば──」
響平は言葉を切った。
しばらく待ってみても、無言のまま。
横顔がちょうど陰になって、表情が見えなかった。
「まあ、いーや」
そう、小さく笑ったかと思えば、ふと視線が絡んで、響平の指先が私の輪郭を捉えた。
目の前に影が落ちる。
一瞬だけ、唇が重なった。
びっくりして手からスマホがすべり落ちた。
心臓がありえないくらいの早鐘を打つ。



