「そんな、馬鹿にしたような笑い方しなくてもいいじゃん」
「別に馬鹿にしてねぇーよ」
そう言って再びクク、と喉を鳴らす。
「でも笑ってるし……」
「おもしれぇって思ったんだよ。いーじゃん、世界にお前とふたりとか、楽しそー」
何気なく発した言葉だろうけど、私の胸を熱くするには十分で、本当にそうなったらいいのにと夢見事を考えずにはいられない。
繋がれた手元を見る。
離れたくないなあ、と思って少しだけぎゅっと力をこめてみたら、響平は応えるように握り返してきた。
「ん、着いた」
その声に顔を上げた瞬間、思わず目を見張った。
想像よりもずっと大きな四角い枠の中に、綺麗に咲いた花たちがびっしりと並んでいる。
並びは規則的だけど、色や種類によってデザインされた花壇はまるで一つの絵のようで、四隅に設置された外灯が、それを幻想的に映し出していた。



