エントランスの裏口から外へ出ると、細い通路が続いていた。
「ここの電気、なんか暗いんだよな。足元気をつけろよ」
コンクリートで舗装された小道を歩いていく。
ところどころにぼんやりとオレンジに光るランプが吊るされていて、おとぎ話の世界のような、どこか神秘的な雰囲気があった。
「すごい。摩天楼にこんなところがあったんだね」
早くも興奮してしまう。
「静か……。何かふたりだけの世界みたい……」
感じたことをそのまま口にしてしまって、ハッと我に返る。
今、すごく恥ずかしいことを言った……。
誤魔化すように軽く咳払いをすると、響平は吐息だけで笑ってみせた。



