何に対しての“ごめん”なのかわからない。
でも、悲しい気持ちがいっきに吹き飛ぶくらい、ひどく優しい声だった。
「……泣くなよ」
頭に大きな手が置かれた。
「もう今日は手出さねぇから。お前の好きなことしよ」
なんで急に優しくなるの。
こうすると私が離れないって、わかってやっているみたいに……。
そう思いながら響平に体を預けかけたとき。
ふいに、私のスマホが震えた。
しばらく固まって、それでも鳴り続けるから、そっと離れてポケットから取り出した。
画面中央に、【国吉海斗】という文字が表示される。
……どうして今？
不思議に思いながらも、画面をスライドしかけた私の手を、響平がつかんだ。
