突っこむ暇もなく腰のリボンに手が伸びてくるから、慌てて制した。
「だめ。ほんとにだめ……」
「…………」
「放して……」
本気で拒んでいることがやっと伝わったらしい。
響平の手が止まる。
どうした?と優しい声で聞かれれば、涙がせきを切ったように溢れてきた。
こんな顔、響平に見せられないよ……。
そんな思いで顔を隠した直後。
ふわり、と響平の匂いに包まれる。
なんとなくぎこちない腕の回し方。それでも、ぐっと私を引き寄せる。
「……ごめん。せっかく来てくれたのに」
耳元で小さく響いた。
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