それは困る。


私は、泉くんに来てほしいって言われたから、来ただけのに。



……ううん。

最終的に来ることを選択したのは、私……だけど。




「さあー着いた。今、響平は1階のゲストルームにいるよ。ノックすれば開けてくれるはず」



摩天楼に着くと、泉くんは私を無理やり中に押しこんだ。



「俺は奥に行かないほうがいい。瑠花ちゃんだけ、ね」


扉が閉められた。

呆然と見つめているうちに時間は過ぎていく。



覚悟を決めて、言われたとおり3回ノックをすると、少し間があって、奥の方から物音が聞こえた。


カチャリと、内側で鍵が回る音。


扉が開くころには、心臓が壊れるんじゃないかというほど大きな音を立てていた。