「久しぶりねえ! 帰省するなら事前に教えてくれてたらよかったのに!」

「いえそんな……。ちょっと掃除でもしようかなと思って帰ってきただけなので」


「そうなの? でも会えてうれしいわぁ。ますます綺麗になって……。彼氏でもできたのかしら?」

「っ、いや。いないですよぉ」



 あはは、と笑ってみせる。



「嘘~。瑠花ちゃんくらい可愛いなら、男の子のひとりやふたりいてもおかしくないわよぉ!」


 さすがにお世辞が過ぎる文句を、苦笑いで受け止めた。



「……あっ、そうだ!」


思い出したように北村さんが続ける。



「“男の子“で思い出した! 瑠花ちゃんに渡さなきゃいけないものがあるのよ~。ずっと前に預かってたんだけど」

「……預かってたもの?」



まったく心当たりがなく、首をかしげる。