ほこりが溜まった部屋の掃除を終えるとちょうどお昼ごはんの時間になった。



だけど、コンビニに行こうとすると外は雨が降っていた。
 
傘を寮に置いてきていて、挙句、玄関にさえ1本もなかった。


 
走っていけば、なんとかなるかな……?


玄関から外を眺めていると、ふいに。

目の前をビニール傘が通り過ぎて、その人はなにかに気づいたように足を止め、こちらを向いた。



「あら? もしかして瑠花ちゃん!?」

「わっ、北村さん……!」



寮に入るまで、親代わりをしてくれていた隣の家の看護師さん。

思わず駆け寄ると、北村さんは記憶と同じ優しい笑顔を向けてくれた。