「響平が顔通しとかしたの、瑠花ちゃんが初めてなんだよ。彼女もどきの女の子は、今までもたくさんいたけど」

「顔通し……?」

「連れてきてみんなに覚えさせるんだ。“俺の女”だって。周りが手を出せないように」



──確かに、そういうことはあった……けど。



「それは、私がまた絡まれたりしないように嘘をついてくれただけで……」

「響平は簡単に人助けをするようなやつじゃないよ」


「えっ?」

「周りに関心が薄いんだ。人の顔も名前も、あまり覚えたがらない。だけど瑠花ちゃんのことは、面倒くさい嘘までついて守る。……そういうの、初めてなんだよ」



響平が周りに無関心。


確かに初めからそんな雰囲気はあった。

実際そうなのも知ってる。