「大丈夫だよ……。それに、響平も美月ちゃんと出ていったし……」
自分で答えておきながら泣きそうになる。
「喧嘩なら、早めに話あったほうがいいですよ?」
心配そうな椿くん。
きっとすごく優しい性格なんだろう。
「ありがとう」
お礼だけ言って会話を終わらせた。
部屋を出ていこうとする椿くんに、今度は国吉くんが声をかける。
「そんなドアマンみたいなことしなくてもいいんじゃないの? 俺たちとゲームでもしてようよ」
「いえ、僕は接待を任されただけなので。それに、夕立さんもすぐ戻ってくると思うし……」
再びはにかんだような笑みを見せて「気を使ってくださってありがとうございます」と小声でつけ加えた。