「飲み物はウーロン茶でいいですか?……って言っても、これ以外ないんですけど。このクッキーとかも、よかったら食べてください」



ソファに座った私たちにコップとお菓子を運んできてくれた。

お礼を言うとはにかんだように笑うから、こちらも自然と笑顔になる。



人懐こい雰囲気が泉くんに似ていると改めて感じた。



「夕立さんが帰ってくるまで、僕はドアの外にいるんで。なんかあったら声掛けてください」


椿くんはペコリとお辞儀をしたあと、私にそっと耳打ちしてきた。



「瑠花さん、どういうことですか? 夕立さん以外の男と仲良くして……。あの人、夕立さんに殺されますよ?」

「……、あ、ええと」


 そっか。
 この街の人たちは、まだ私を響平の彼女だと思ってるんだ。