「とりあえず、お前はこれ着とけよ」


渡されたのは黒色のトレーナー。

ひとまずタオルをソファに置いて、頭からかぶった。


響平の匂いにすっぽり包まれて、それだけで心拍数が上がる。



「やっぱでかいか」

と、目を細めた響平。



袖は長くて指先まで隠れるし、丈も腰よりずっと下でスカートみたい。



「下履かなくてもいけるな、ソレ」


冗談めいた笑顔を見せ、扉に手をかけた。



「やべ。そういや俺、煙草買いに行くんだった。泉に怒られるわ」


ふたりきりの時間はもうお終い。

部屋を出て、みんなのいる場所へ戻っていく。