響平は涼しい顔で小さく笑うだけ。


後ろのクローゼットに手をかけると

「ちょーどよかった。タオルも収納してある」

そう言って取り出したタオルを、ほいと私に投げて寄こした。



「それ美月と、あいつ──クニヨシ君のぶんもあるから。あとで渡せよ」


受け取ったタオルは3枚。バスタオルの半分くらいの大きさのもの。



「うん。ありがとう」


そうだ。ふたりを待たせているんだった。

響平に連れて行かれた私のことを、美月ちゃんはどう思っているんだろう。




「この部屋は響平のものなの?」

罪悪感を押しのけて、もう少しだけふたりでいたいというワガママな気持ちがこみ上げる。



「そうだな、俺以外は入らねぇし。まあ俺も、たまにしか使わねぇけど」


ふうん、と相槌を打って部屋を見渡す。

クローゼットと大きめのソファ、だけ。



スペースはあるのに他には何もない。