「そこまで怒ってねぇから」


響平はぎこちない手つきで私の頭を撫でた。

普段は、知り尽くしたように容赦なく触れてくるくせにこういうときだけ、不慣れな感じ。



「そこまでってことは、ちょっとは怒ってるんじゃん」

「それはお前が──」



言いかけて、区切る。



「まあいいや。泣かれると、こっちもヘンな気起こりそうなんだわ」



そう言うと、私のカーディガンのボタンに手をかけてくるからびっくりする。



「っ、なにしてるの……」

「脱がせてる」

「えっ?」



戸惑ってるうちにボタンは全て外されて、半ば強引にはぎ取られた。


まだ、中にインナーを着てるからいいものの。

……いや、よくない。



「ちょっと待ってよ。ここで……する、の?」



うわずった声でそう聞くと、はあ?と呆れた声が返ってきた。



「するってなんだよ。濡れてるとフツーに寒いだろ、だから脱げって言ってんの」

「え……? ああ」