電気がついてないからと、少し油断した。


じわっと目頭が熱くなった直後、わざとらしいため息をついた響平に再び手を引かれる。


今度はどこへ連れて行かれるのかと思えば、すぐ隣の部屋の扉が開き、中に押しこまれた。


部屋がパッと明るくなる。

響平が電気をつけたから
視線がぶつかって、しまった、と思う。


私の目からこぼれ落ちていた涙。

慌てて顔を背けるけど、もう遅い。



「なんで泣いて……?」

「っ、違う……これは、違くて……」



誤魔化せるはずもなく、恥ずかしさで余計に溢れてきた。

昔から涙もろかった記憶はない。大抵のことは我慢できたはず。


それなのに響平のことになると、どうしてか驚くほど涙腺が弱くなる。