問答無用で引っ張られ、勢い余って転びそうになる。
倉庫の奥の、さらに奥へと連れて行かれて。
手が離されたのは、電気のついていない廊下の隅。
「お前さ。男連れてくるとか、マジでいい度胸してんな」
暗いから表情は見えないけれど、たぶん、もう笑っていない。
響平は壁に手をついて、私をギリギリまで追いやった。
なにを、そんなに苛立ってるの……?
美月ちゃんに優しくする響平を目の当たりにして、おまけに理由もわからず責められて、こんな悲しい気持ちになるなら、来なきゃよかった……って。
「響平が待ってるって言ったから、会いにきたのに……なんで、怒るの……?」