「俺んとこの街、また来いよ。遠いわけじゃねーし、すぐ会えるだろ」
響平がそう言えば、本当に簡単に会える気がしてくるから不思議。
「返事は」
「えっ?」
「来るんだろ、ちゃんと」
「え? ……う、うん」
勢いに気圧されてうなずいてしまった。
「ならいい。そっちが来る気ねぇのに、待ってる、とか言えねぇしな」
「え……」
それって、私の都合のいい意味にとっても大丈夫なんだろうか。
そんなことを考えた直後。
「待ってる。だから会いにこいよ」
今度ははっきりとそう口にして、響平は小さく笑った。
うん、と頷くだけで精一杯。
「あの……じゃあ、またね」
関わらないと決めたのは、どこの誰だったか。
そんな自分に呆れ返るより先に、会いたいと思う気持ちがこみ上げてくるんだから、もうどうしようもない。



