響平は2年前に、死んだ……ことになってる。

あの街に買われた。


その2つの情報だけでは不十分。
繋げ合わせてみてもピンとこない。



“子どもを買う”ということ自体、非現実的すぎて受け入れられないのに、その上、“死んだことになっている”……だなんて。


もしかすると、裏社会では珍しくない話なのかもしれないけれど、ずっと普通の世界で生きてきた私は「信じられない」以外の言葉は出てこなかった。



ゆっくりと目を閉じれば、ふっ、と眠気が襲ってくる。

絶対に眠れないと思っていたのに、かなり疲労していたらしく、重たい瞼はもう持ち上がらなかった。


どこかへ落ちていくような感覚とともに、意識もすぐに離れていく。


どんなに難しいことを言われたって。

今、響平が生きていることは事実なんだから、私にとっては、それだけでいいんだ……と。

最後に、そんなことを考えた気がする。