部屋にひとりの夜は、やっぱり寂しくなってしまうもの。
天井を見つめながら今日のことを思い出す。


響平の忘れられない子、っていうのは、美月ちゃんだった。


こんな仕打ちってないと思う。

闇社会の人だからって必死で忘れようとしたのに忘れられなかった人。


今日久しぶりに会って、大事にしてくれてるのかもって勘違いしてしまった。

 初めての恋が、こんなにあっけなく砕け散るなんて。



「っ、……」

一度涙が出てくると止められなかった。


美月ちゃんたちは、いきなり帰ったことをどう思ったかな……。

次に顔を合わせるときは、きちんと謝らないといけないけど、なんて言おう。


 ……それに。


──『いるはずのない人間』

国吉くんの言葉が浮かんでは消えていく。