「お前って男のタイプとかあんの? どれがお好み?」


話をまるで聞かない響平。

ペースに引きこむのが上手くて、悔しい。

悔しいから、響平の手に自分の指先を絡めた。



精いっぱいの反撃。



「私は……ほんもの」

「ホンモノ?」

「……響平がいい。ありのままの……響平」



瞳を見ても声を聞いても、まったく気持ちが読めない響平が好きなんだと思う。

わからなくていい。
棒読みでもなんでも、ありのまま、素で接してくれることがとても嬉しいと感じるから。


「瑠花」


ふと、響平の手に力がこもった。



「こっち向いて。……そんで、唇よこせ」


響平の影が視界を覆って、一緒に、思考まで奪われた。

離れても、角度を変えてまたすぐに落ちてくる。



「──っ、」


強引なくせに、優しい、矛盾だらけのキス。
毒が回るように、じっくりと熱が広がっていくのを感じていた。