「でも、今日のお前は本当に神がかりしてるみたいに神聖な感じがして、綺麗だったぞ。

 杵崎なんか、近寄りがたく感じたみたいだ。

 俺も一瞬、こんな女に手を出してはご無礼かと思ったんだが。

 ……まあ、一瞬だったな」
と陽太は言う。

「終わって、俺の許に来たお前を見たとき、こいつはもう、神様の許を離れて俺の許にやってきたんだなと思ったっていうか。

 なんか普段通りだったから……」

 そんな残念なことを陽太は言った。

「でもあのとき、こいつは、神様が俺につかわしてくださった女だとあのとき思った。

 ……昔は恋は人を詩人にするとか、そんな莫迦みたいなことあるかと思ってたんだが。

 俺は今、結構莫迦なこと言ってるな。

 たいして呑んでないのに」
と陽太は少し照れて言う。

 深月もちょっと赤くなって俯いた。

 すると、視界に陽太のスーツのポケットから少しはみ出していたイヤフォンが入る。