「ふっ!」
湊が吹き出した。


「お前って!
俺こそお前にはかなわない。

大事にしてるんだな葵ちゃんのこと」


湊がはじめて葵の名前を口にしてピクリとする。

「名前を呼んだだけで怒るなよ。
付き合って何年になる?」

「高一からだから五年」

「お前五年も我慢してんのか!?
卒業まであと四年だぞ?」

目を丸くして笑い出す。

「うるせぇ。
やっと、ずっと恋い焦がれて手に入れたんだ。それくらいどうってことない。
って思ってたよ。昨日までは。

でも、誰にも渡したくないって思ったらもう限界だ、、、」


頭を抱えて深いため息をはく。