「なぁ、アプリをダウンロードすればいいんだろ? するよ、ダウンロードする! だから助けて!!」


佐野君が吐く暴言はもやは懇願に変わり、両方の目から涙がとめどなく溢れている。


それは紛れもなく、死を前にした人間の顔だった。


あと半歩歩けばガケの下に落下してしまうところで、3人は立ち止まった。


その光景にあたしはホッと息を吐きだす。


佐野君の素行が悪いから少し脅しただけみたいだ。


当たり前だよね、学校が人殺しなんてするわけがないんだから。


そう思った次の瞬間。


「お前は退学だ」


1人の教師が冷たい声でそう言い、佐野君の背中をトンッと押した……。