「俺が忘れさせるから、なにもかも。俺のことで頭いっぱいになるようにしてみせるからーー」

そう言いながら前屈みになる佐々木くんの顔がどんどん私に近付いてくる。

「ちょ、ちょっと待ってよ…」

「マテはもう随分しました。俺、いつまでもお利口なワンコじゃいられないーー」

「さ、さき…く、ん…」

それ以上の反論は佐々木くんの唇に奪われてしまった。

佐々木くんは何度も何度も角度を変えながら私の唇を啄む。

そして、軽々と椅子から私を立たせるとキスはさらに深いものとなった。

「…ん、さ、さきく、ん…」

佐々木くんの胸を押し返そうとするのに簡単にその手は奪われ指と指を絡められる。

静かなオフィスに私達の唇を重ねる音だけが響く。

私は細やかな抵抗を止め、佐々木くんからのキスを受け入れた。

「っ、んぅ…」

思わず声が漏れるとーーー

「それ、ヤバい。好きすぎてめちゃくちゃにしちゃいたい。」

佐々木くんは一瞬、唇を離して呟くように言うとその後、息も出来ないくらいのキスをした。