緑の風と小さな光 第2部

セレが少しでも反抗的な行動をしようものなら、ピアリが無事では済まないぞ、と見せつけている。

「どうしてだ?」

エイダが言った。

「何がだ?」

セレはエイダが何を質問しているのかわからなかった。

「痛い思いをするのはピアリだ。貴様ではない。それなのに、手も足も出せないのはどうしてだ?」

「お前は、仲間が傷つけられるのを見ても平気なのか?」

「…少し落ち着かない気分になるだけだ。貴様のようにはならない。」

「スヴィアと違って、僅かに心が残っているようだな。お前はスヴィアを心配しているだろう?」

「心配?私が?」

「元のアスヴィル国王に戻って欲しいのだろう?」

「……」

「多分、優しい国王だったのだな。」

エイダの表情が哀愁を帯びた。

「…こんなに変わってしまうとは…『竜のルビー』のせいかもしれない、と気付いた時にはもう遅かった…

私も色々と調べたのだ。魔法使いに聞きに行った事もある…でも国王陛下を元に戻す方法は何も無かった…」

「いや、もしかしたら…」

…元通りにはならないかもしれないが、竜のルビーの力を弱める事はできるかもしれない…

セレにはある考えがあった。