闘奴は別の居住区に住まわされる。
一人ひとりに小屋が与えられ、それぞれに看守が付く。
家族も同居が許されるが、つまりは闘奴が逃げない為の人質だ。
「良い物は食えるし金ももらえる。でも、ほとんどの奴は1年位で命を落とす。」
ふと、1人の男が近づいてきた。
「お前、エルグだよな?」
「!お前は…」
エルグは眉間にしわを寄せた。
「よくここに来られたな。」
男の目つきは険しかった。
「…もう一度会わなきゃならない人がいる。」
「マーラの事か?お前には会わないだろうよ。」
「……」
「マーラも俺達もお前のやった事を今でも忘れちゃいない。」
それだけ言って男は去って行った。
エルグは黙って立ち尽くしていた。
「お兄ちゃん。」
ルルグが声をかけた。
「…あ、ああ、大丈夫だ。…ここでじっとしていても仕方ない。行こう。」
エルグが我に返ったように言った。
「いいのか?」
セレがきいたのはそれだけだった。『今のは誰だ?』とは言わなかった。
「ああ。ピアリが先だ。」
「…わかった。それなら急ごう。もう近い。」
セレは足を速めた。
エルグはルルグを背負って歩き出した。
一人ひとりに小屋が与えられ、それぞれに看守が付く。
家族も同居が許されるが、つまりは闘奴が逃げない為の人質だ。
「良い物は食えるし金ももらえる。でも、ほとんどの奴は1年位で命を落とす。」
ふと、1人の男が近づいてきた。
「お前、エルグだよな?」
「!お前は…」
エルグは眉間にしわを寄せた。
「よくここに来られたな。」
男の目つきは険しかった。
「…もう一度会わなきゃならない人がいる。」
「マーラの事か?お前には会わないだろうよ。」
「……」
「マーラも俺達もお前のやった事を今でも忘れちゃいない。」
それだけ言って男は去って行った。
エルグは黙って立ち尽くしていた。
「お兄ちゃん。」
ルルグが声をかけた。
「…あ、ああ、大丈夫だ。…ここでじっとしていても仕方ない。行こう。」
エルグが我に返ったように言った。
「いいのか?」
セレがきいたのはそれだけだった。『今のは誰だ?』とは言わなかった。
「ああ。ピアリが先だ。」
「…わかった。それなら急ごう。もう近い。」
セレは足を速めた。
エルグはルルグを背負って歩き出した。

