緑の風と小さな光 第2部

この居住区にいるのは、個人の奴隷ではなく国の奴隷だ。主に土木工事、鉱山での作業などに駆り出される。

仕事の合間には自由な時間もある。

「労働をサボったり、お上に逆らったりしたらすぐに鞭打ちだけど、おとなしくしてれば、それなりに暮らして行けるのさ。」

「…ずっとおとなしくできるとは思えないけどな。」

「そうなんだけど、あのエイダやスヴィアの力には抗えないんだよ。」

「その力だが『竜のルビー』ではないかな…。」

「竜のルビー?何だそれは?」

「竜の血から作られる魔法石だ。他人を思い通りに操れる。」

「…そうなのか…そうかもしれないな。」

セレ達の側を子供達が元気にはしゃぎながら走り抜けて行った。

「子供が多いな。」

「うん。みんな大家族なんだ。」

子供を叱りつける母親の声がした。

家の軒先には大量の洗濯物。

農作業をしている男達にも笑顔があった。

言葉や態度は粗野だが、暖かい感じがした。

エルグが素朴で人懐こいのは、ここで育ったせいかもしれない。

「気の荒い奴が多いから、争い事が起きると大変だけど、普段はこんなもんだよ。…ただ、闘奴は違う。」