緑の風と小さな光 第2部

エルグはずっと黙ったままだった。

道が分かれている所で

「これはどっちに行くんだ?」

とセレに尋ねられて

「右だ。」

と答えただけで、後は何も話さなかった。

程なくディルトという宿場町に着いたが、エイダ達はもういなかった。

彼等は休憩を取らずに進んでいる。セレはピアリが心配だった。

「この先にも集落があるな。おそらく今はその辺にいる。」

「…ああ。奴隷の居住区だ。一般人は入らないけどな。あいつらには安全な場所かもな。」

エルグの顔はますます曇って来た。

「俺はペンダントが向いている方に行くが、エルグとルルグは別の場所で待っていてくれてもいい。」

セレはそう言ったが、

「いや…一緒に行く。」

エルグは思い詰めた表情でそのまま進んだ。


居住区は石壁で囲まれていた。入り口には見張りが立って居た。

武器の持ち込みは許されなかったので、セレは剣を預けた。

その他は特に調べられず、すんなりと入れてくれた。

「入るのは簡単なのさ。出るのは大変だ。」

エルグが言った。

石壁の中に足を踏み入れると、セレは荒っぽい空気を感じた。

「無法地帯だからな。気をつけろよ。」