緑の風と小さな光 第2部

ピアリはエイダと一緒に馬上にいた。

「お嬢さん。」

エイダの声でピアリは我に返った。

「…!?」

馬の上にいる事に驚いた。

「じっとしていて下さい。落ちますよ。」

エイダに後ろから抱えられていた。

「何処に行くの?」

「言ったでしょう。スヴィア様の城です。」

「私はどうなるの?」

「スヴィア様の前で歌声を披露して頂くだけです。どうにもしませんよ。」

「……」

言動はあくまで紳士的だったが、やはりどこかに『荒くれ者』を感じる。

「スヴィアという人はそんなに歌が好きなの?」

「歌も音楽もお好きでしたよ…今もその筈です。」

「…その筈…?わからないの…?」

「…わからなくなってしまった…いや、君に言っても仕方ない…

君の歌でスヴィア様の心が少しでも動けば、と思ったのですが…」

「?」

「いや、とにかくスヴィア様の前で歌って下さい。」

ピアリは『隙を見て逃げよう』と思っていたのだが、段々スヴィアという人物に興味が湧いてきた。

「わかったわ。」

従ってみる事にした。