緑の風と小さな光 第2部

「側に仕える者達が商人と繋がっていたんだよ。そいつらが悪いのさ。幼い国王陛下を上手く利用したんだろうよ。」

アンナのような農民でも、そういった事情をそれとなくわかっていた。

「国王陛下をお護りする者がいなかったのだな…」

セレの言い方は身内の様だった。

「城への道ならそのペンダントを使わなくても俺が知ってるよ。今頃はディルトっていう宿場町あたりだろう。」

エルグがそう言ったのを、アンナは不審に思った。

「あんた詳しいねぇ。…何処かで見た事があるね…この国の出身かい?」

「あっ…ああ。もっと南の方だけどね。」

「…エルグって名前も聞いたことがある様な…何処でだったか…」

アンナはエルグをジロジロと見た。

「…闘奴…あんた、闘奴だった…?」

「……」

「そうだよねぇ?あんた強かったよね!」

「…ああ…」

「いつの間にかいなくなっちゃってさぁ。死んだのかと思ってたよ。何処に行ってたんだい?」

「…まぁ、色々な…」

エルグは話したくなさそうだった。

「お兄ちゃん、セレ、もう行こう。」

そう言ったのはルルグだった。

「そうしよう。」

セレは立ち上がった。