緑の風と小さな光 第2部

セレが目覚めたのは、誰かの家の中だった。

「…ここは?」

「気がついたんだね。ここは私の家だよ。私はアンナ。…綺麗な目だねぇ。宝石みたい。大丈夫かい?災難だったねぇ。」

ふくよかな中年の女性だった。身なりからして農民だろう。セレの緑の瞳に見入っていた。

「ええ…助けてくれたんですね…ありがとう。俺はセレと言います。」

セレはベッドから起き上がった。

「セレ、大丈夫か?」

エルグだ。

「ああ。お前こそ大丈夫か?」

セレはエルグの目を見た。特に異常は無かった。

「うん…あいつに命令されると逆らえないんだ…自分の意志は無くなってしまうし、体が勝手に動く。」

「ジンの時と似てるな。」

「ああ…竜の力だ。」

「あいつは竜じゃない。獣人でもない…アイテムか?」

『竜のルビー』が頭をよぎった。

「さっきの男でしょ?スヴィアもそうだけど、人を操る力があるみたいだよ。」

アンナが言った。

「ジンと同じ力なら俺には効かないだろうけど…それよりピアリを連れ戻さないと。」

セレは少し焦っていた。

「それは無理だよ。スヴィアの方があの力が強いって言うよ。城を守る軍隊もいるしね。」