「それが、ことごとく鎮圧されてしまうんだ。城の前までは乗り込むんだが戦う前にみんな潰される。…何かあるのかな?」

「スヴィアというのは魔法使いか?」

「そんな話しは聞いたことが無い。」

「それなら何だろう?」

後ろを歩くピアリとルルグは、セレ達の話しは聞いていなかった。

ピアリというのがローエンの娘だ。長い黒髪に黒い大きな瞳の愛らしい少女だ。

ルルグはエルグの弟で、10才の少年だ。

キラキラ光る貝殻の様な物がピアリの手にあった。

「いつ見ても綺麗ね…」

竜の鱗だ。前の村で知り合った大地の竜、ジンがくれたものだ。

「表の金色もいいけど、僕は裏の虹みたいな色が好きだな。」

鱗の裏側は真珠貝に似ていた。ルルグはそちらの方が美しいと思った。

「アクセサリーが作れそうね。」

「でもすごく硬いって言ってたよ。」

「魔法のアイテムを造る職人さんにでも頼まないと無理かしらね。」

ピアリ達の会話にエルグが振り返った。

「貴重な物は人に見せない方がいい。今から行く所はな。」

「スザールに行くのか?」

「ああ。ケリをつけなきゃと思っている事がある…先延ばしにしても同じだからな…」