あ、でもーーーー。
あたしは、ちらっと、龍を見た。


「龍、ごめんね。
リーダーの人が、龍に似てるの。
黒髪で、目が鋭くて、あ、赤いピアスしてた。
みんな、片耳だけっ」

「片耳だけーー、っていやー、紅牙じゃね?」

紅牙?













"俺ら、紅牙のリーダーに抱かれたんだ。
光栄に思えよ"ーーーー




あ、、。



今思えば、そうだ。
薄れゆく意識の中で、確かにそう言った。



「そうだ、紅牙だーー」


そう呟いて涙。

そう呟いて震える身体。








「大丈夫だ。

俺らが紅牙を潰してやるよ!!」




龍は、優しい。
本当は優しい。

わかってる。

「ありがとう、龍っ」


この日、初めて龍に向き合えた。

初めて龍に、抱きついた。


初めて龍の胸の中で泣いた。