だけど、龍神なんてーーーーかっこいい。
だけどーーーー
助手席にいる龍の纏う雰囲気に、呑まれそうになる。

「どうした?
乗らないの?
なあ、なんで龍が怖いの?」

龍がじゃないーーーー龍に似た人が居たんだ。


「もしかして、あげはの過去に関係ある?」

本当に白は、魔法使いみたいだ。
「龍に、似てた。
あたしを傷つけたやつに、わかってる。
あれは、龍じゃない。
違う人なんだって。
だけどーーーー龍とその人が被る。

龍が、悪いわけじゃない」


あたしが弱いからーーーー

龍が嫌いなんかじゃない。
「龍が、怖いんじゃない。
龍に似てる人のせいなのにーー龍につい嫌いって言っちゃう」


あたしは泣き虫。
そして弱い。
「龍はきっと傷ついてるよね」


車で待ってる龍。
待たせちゃいけない思いつつ、前に進めないあたしは、誰よりも弱い。

武道で鍛えた精神なんて、一瞬で消え去った。