「おい、よしよしすんな!
俺は兄貴だぞっ!!
よしよしとか赤ちゃんかーーーー。
本当、赤ちゃんに戻りてーよ。
純粋で何も分からない、赤ん坊になりてーよ」


耳からイヤホンを外した黒は、だれがどう見ても泣いていた。


ーーただ、好きになっただけ。

暗い路地裏で、儚い蝶に出会った。


まだ14歳だった女の子に、心奪われて。
15歳になった蝶は、飛び立つ羽根を手に入れた。


それが、龍だっただけ。


きっと、誰に何を言われてもーーーー
あげは、は振り向かなかった筈だ。


その証拠に、撃沈してしまった奴が多数ーー


「パーティしょうぜ。
失恋パーティ!!」
賑やかな個室部屋。

「うるさいです!
ここは、病院ですよ!!」


盛り下げる女は、20代ぐらいの若い看護師。


「なんですか?

不良がなんぼですか。
怖くないですよ。
静かに、パーティしてくださいよ!

ここは、病院ですからね!」


そう言うだけ言って去ってゆく、看護師さんを黒がジッ、と見ていた。


「なんか、可愛いっ」




「「「「はあ!?大丈夫か!!」」」


黒を思わず、ガン見した。