どうして好きなのに、互いに好き同士なのに。
すれ違ってしまうんだろうーーーー。


落ち着いた室内に、早変わりーーーー。
ただ、俺達の気持ちは、沈んだままだ。



「あげは、大丈夫か?」


「ああ、点滴で寝たみたい。
龍の奴、バカだよホントっ」



ああ、バカだよな。

無理矢理しなくたって、あげはの気持ちは変わらず龍だ。



その証拠にーーーー





「ーーーー龍っ」


寝言を言う名前は、絶対に龍で俺なんかじゃないんだよ。

どんなにひどいことをされても、あげは、は龍がいいんだ。


「ーーーーなんか、寝れる空気じゃないよな」


身動き取れないベッドの中じゃ、退屈過ぎて嫌になる。


「チャンスじゃねーの?
龍からあげは、奪えるチャンス。
龍があんなんじゃ、あげはだって嫌だろうし。
俺は、弟の幸せを願うーーーー。」



ーーーー幸せ?



「ずるくないか?それ。
弱みに付け込むみたいな」


俺の言葉に、あはは、と笑うユウ。



「身体張って、彼女守ったんだろう?
本気で、好きじゃなきゃ出来ないよな?
だいたい、あの時ーーーー、龍は動けなかったんだからっ」


あの時ーーーー本当に咄嗟に動いた身体。

あの時の龍のこと俺は知らない。


一番そばにいたのは、龍だと言うのにーー。


「知ってるか?
龍の弱点。

龍って高いとこ、苦手なんだよっ」



はあ⁇

高いとこ苦手ーー?

あの、超人並みの龍がーーー?