*レイside*


あの時ーーーー、キスを嫌がるあげはが涙目で俺を見ていた。

迷いなんか無いーーーー龍の手を握って止める俺に、"離せよ、レイ"。


冷たい声に、背筋が冷えた感覚がある。

だけど、龍に気を取られてあげはの異変に気づかなかった。

「あげはちゃん、危ない!」



その蝶は、宙を舞って居たーーーー。
二階から落ちたら、大怪我だ。



「あげはっ!」



大切で、大好きな君を抱き締めた。


大切で、大好きな君を守れた。


多少の痛みは覚悟していた。


右の肩と腕が特に痛みを伴う。
だけどーーーーあげはを見てホッとして。

守れて良かったって思う。


だけどーーーー龍がそれを許してはくれない。



冷たい瞳が、俺を見ていた。

"龍神の女に手を出すから、バチが当たったんじゃない?"ーーーー。


あれは、結構、ガツンと来た。
だけどーーーー逆に龍神の姫を助けたのを誇りに思うんだ。


龍には、届かないけどーーーー。