俺は、顔を覆った。

頭いてー。

「龍、抱き締めたらまずい?」

「まずいに決まってるだろう。
あげは、ダメだよ。
あげはには、俺がいるだろう?」


流石に諦めるか?

だけどーーーーレイを見つめるあげは。


「嫌い?

寂しいっ」

ーーーー!!


ポロポロ涙を流すあげは。

「えっ、いや、嫌いじゃないけどっ」


戸惑うレイを初めて見たよ、俺。

普段クールな、レイの表情に色が付いた。
変わり始めている証拠。


不思議なことに、あげはに出会う奴は少しずつ変わってゆくんだ。

それが、あげはの魅力か?

「ーーーーダメ?」

ピトッ、とレイにくっつくあげは。

「あー、もうなんなんだよ、この小悪魔っ」


うん、本当ーーーー小悪魔だと思う。

可愛いけど、他の男にされると無性に腹立つ。
だけど、本人は自覚なし。



「スースー」


寝息?



車内、あげはの柔らかな寝息が聞こえた。


「寝!?
寝てる訳?」

レイの膝に、膝枕状態のあげは。

寝顔は相変わらず可愛い。