だけど、あたしの誕生日。
喜んでる、あたしのためにーーーー
櫂くんの気持ちのために、みんな何も言わなかった。

「ーーーーいてーな!!来いよ、お前っ」


やばっ!油断した。


ボー、とし過ぎた。


捕まえた右手。

痛いーーーー。



だけど、不意に離れた。


「ちょ、離せよっ!!
なんだよ、抱きつくな。
んな、趣味ねーよ!」


龍ーーーー。




「あげは、ずっと苦しかったんだろう。
痛かったし、悲しかった。

復讐したくて、頑張ったんだよな。

一人では無理でも、俺がいるーーーー。




気の済むまで、殴っていいよ!」



龍ーーーー。




穏やかな笑み。



確かに、一人じゃコイツには勝てない。


「あたし、痛かった。

苦しかったーーーー。
眠れない夜も、あった。



でも、もう一人じゃない。

あたしは、あんたには負けない!!」



振り下ろした腕ーーーー。




「ちょっ!?」


いつもなら、掴まられて押さえ込まれてしまう手。

障害はないーーーー。


「ぐっーーーーっ。」








ぐったりしたアイツがいた。


嫌いな、大嫌いな紅牙の総長は伸びきっていた。