「やだーーっ、あの日をなかったことにはしたくない!!」


怖かったあの日。

薄暗い路地裏に連れさらわれ、何人もの男に回された怖さ。

「やだっ、助けて!」


自分よりはるかにガタイのいい長身な奴らに、めちゃくちゃにされたあの日。


今と同じことを、叫び泣いていた。






「ーーーーっ、お前バカだな。

お前が泣くと俺が、苦しい。
だからじゃないけどーー泣くなよあげは」

初めて旬が、あたしの名前を呼んだ。

震えていた体は、もう震えてない。


「旬ーーっ、ごめんなさいっ!」

今度は嘘偽りのない本当のあたし。

涙は、嘘じゃない。
あたしは旬の胸に顔を埋めて泣いた。