「でもね、あれは絵本でーーーー。「あげはちゃん、ちゃんと見つけた星の貝殻。

あげはちゃんの夢、叶うといいねっ」


星の貝殻

小さい時、読んでいた絵本だった。

絵本の内容は、ママが死んでしまった少女が砂浜で星の貝殻を見つける話。

見つかるか見つからないかの旅路に出た。

少女は、少年に出会った。


"居なくなったママに会いたい"ーーーー。

"じゃあ、一緒に探そう"。

途中、汚れたのか破れたのか
見えなくなっていた絵本。

「これが、あの時の"続き"だよ。

貝殻、遅くなってごめんっ」



ううん、あたしが逃げたからーーーー。


勝手に、逃げ出したから。



あたしは首を左右に振った。



「ありがとうーーーー櫂くんっ」


あたしは涙を、ポロポロ流してしまう。