「じゃあ、なんでーーあたしは、男に傷つけられたの?教えてよっ、弱い生きモノに目を付けて、体も心にも、傷をつけられた。

旬には分からないでしょう!
あたしの気持ちなんか!!」


今ので、わかった。
あげはの心の闇にーー。
守ってくれる筈の男は、弱い生きモノに目を付けて傷つけた。



「わかんねーな、だけどーー俺なら好きな奴は絶対傷つけない。


男はみんなやりたいだけなんて、悲しいこと言うな。そんな、悲しいこと言うなよ」

旬ーー。


「あんたなんかに!!」


あげはが、振り下ろした手は簡単に掴まれ身動きがとれない。

「ーーっ、俺が女相手に本気で戦う訳ねーだろ。
分かんないなら教えてやるよ!」


ーーーーーー!!


旬は、あげはを壁に押し当てた。
両手は塞がれ、身動き一つ取れない。


「やっ、離してよ!」


力を入れてる様に見える旬だけどーー
多分、力は半分も出てない。

あげはに、教えてあげてるんだ。
それが分かるから、みんなーー止めない。

警戒心のない、無自覚なお姫様に。

「ーーーーーーっ、ごめんなさい。
わかったから、離してっ!」


涙がこみ上げたあげはが、旬を見つめた。
旬の顔が見る見る赤くなる。

不意に離した手。
緩めた瞬間ーーーーーー
制裁かの様に、あげはが旬の腹部にパンチした。