「ーーーー白?」


「うん、白だよ。
旬が、怖がらしてごめん。
だけどさあ、戦うなんてやめよう。
無理だよ、女の子なんだから」


"無理だよ、女の子なんだから"ーーーー。

パシッ!


あたしは気づいたら、白の手を振り払っていた。

「それ、あたしの1番嫌いな言葉。
女の子だから無理だから、なんて誰が決めたの?
あたしは負けない!!

強くなるって決めたのっ!!」


武術を二年間学んだ。
誰にも負けない!!

「あんた達が、戦わないならあたしからいくよ!」

近くにいた白に、拳を繰り出した。


ガシッーーーーーー。


あれ?動かない。

あれ?

「ちょっ、白っ」

嘘ーー。
動けない右手。


「ねえ、あげは。
あげはの辛い気持ち、全部教えてよ。
泣かないでよ、あげはっ」

泣いてないーーーー。

ううん、確かに雨は降っていた。

数滴、地面を濡らしていたもの。

「ーーーーっ、男になんか負けない!
絶対、負けないんだからね!」


悔しい。
フニャフニャした白に、負けた。
あたしが学んだ二年間は、なんなのか。

あたしは、白の胸の中で泣いた。